イントロダクション
Introduction

ゆっくり記憶を失っていく父との、お別れまでの7年間。
それは、思いもよらない出来事と発見に満ちた日々。
笑って泣いて、前に進んでいく家族たちの、新たな愛の感動作!
監督・脚本を務めるのは、初めての長編商業映画『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)が、日本アカデミー賞主要6部門を含む国内の映画賞計34部門を受賞した、中野量太。 常にオリジナル脚本で独自の世界を創り続けてきた監督が、「オリジナル脚本へのこだわりを簡単に捨てられた」と語るほど原作に惚れ込み、初めて小説の映画化にチャレンジします。

原作は、「小さいおうち」で第143回直木賞を受賞した、中島京子の同名小説「長いお別れ」。 認知症を患い記憶や言葉を失っていく自身の父親と暮らした日々の実体験をもとに、ただつらいだけの日常を描くのではなく、笑いも交えたあたたかく切ない筆致でつづった作品です。 第10回中央公論文芸賞、第5回日本医療小説大賞を受賞しています。

近い将来65歳以上の1/5が発症するという(出典:厚生労働省)今や他人ごとではない認知症。父の発症により、自分自身の人生と向き合う事になる家族の7年間を、あたたかな眼差しをもって優しさとユーモアたっぷりに描いた本作。 刻々と変化する時代に変わることのない大切なものを問う、昭和、平成、そして新しい時代へと繋がれる希望に満ちた作品が誕生しました。

ストーリー
Story

父の70歳の誕生日。久しぶりに帰省した娘たちに母から告げられたのは、厳格な父が認知症になったという事実だった。 それぞれの人生の岐路に立たされている姉妹は、思いもよらない出来事の連続に驚きながらも、変わらない父の愛情に気付き前に進んでいく。 ゆっくり記憶を失っていく父との7年間の末に、家族が選んだ新しい未来とは――

キャスト
Cast Profile & Comment

次女│東 芙美ひがし ふみ
蒼井 優
カフェを開く夢も恋愛もうまくいかず、思い悩んでいる。
長女│今村麻里いまむら まり
竹内結子
夫の転勤で息子とアメリカに移り住み、慣れない生活に戸惑っている。
母│東 曜子ひがし ようこ
松原智恵子
結婚後、専業主婦として夫と娘たちを献身的に支えてきた。
父│東 昇平ひがし しょうへい
山﨑 努
元・中学校校長。認知症を患い、ゆっくり記憶を失っていく。
麻里の夫│今村 新いまむら しん
北村有起哉
麻里の夫。海洋生物学者。その冷静さと正論を振りかざす性格から、麻里と衝突しがち。
芙美の元同級生│磐田道彦いわた みちひこ
中村倫也
芙美の中学校時代の同級生。バツイチ。 芙美と再会し、恋仲に。
麻里の息子│今村崇いまむら たかし
杉田雷麟
麻里の息子。両親とまともに口を利かなくなり、学校もさぼっている。
麻里の息子│今村崇いまむら たかし
蒲田優惟人
麻里の息子。父の仕事の都合でアメリカに行き、地元の学校に通っている。

蒼井 優 プロフィール

1985年8月17日生まれ、福岡県出身。99年にミュージカル「アニー」で舞台デビュー。 01年に『リリイ・シュシュのすべて』(岩井俊二監督)のヒロイン役で映画デビューを果たす。以降、『花とアリス』(04/岩井俊二監督)、『ニライカナイからの手紙』(05/熊澤尚人監督)、『フラガール』(06/李相日監督)などで主演を務め、『フラガール』では日本アカデミー賞最優秀助演女優賞と新人俳優賞を受賞した他、数々の賞を総なめにした。山田洋次監督『おとうと』(10)と『東京家族』(13)で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年の主な映画出演作に、『オーバー・フェンス』(16/山下敦弘監督)、『アズミ・ハルコは行方不明』(16/松居大悟監督)、日本アカデミー賞。最優秀主演女優賞を受賞した『彼女がその名を知らない鳥たち』(17/白石和彌監督)など。18年に公開された『ペンギン・ハイウェイ』(石田祐康監督)など、アニメーション映画への声の出演も多い。また舞台での活躍も目覚ましく、「アンチゴーヌ」(18)、「スカイライト」(18)など話題作に出演している。映画公開待機作に『宮本から君へ』(19/真利子哲也監督)、『ロマンスドール』(19/タナダユキ監督)がある。

蒼井 優 コメント

私が演じた芙美は、よしておけばいいのにと思うようなことをついやってしまう、でも笑えるほど不器用でもない、というちょっと不憫なタイプの女性です。そんな彼女が30歳を超えてもう一度家族から学ぶことの大きさが大切なのかなと思いながら演じました。
東家の皆さんとの共演はとても光栄でした。お芝居とは何なのかを山﨑努さんの御本で学んで来た私にとって、まさか山﨑さんと同じ画面に入れる日が来るなんて思ってもいませんでした。今思い返しても夢のような時間で、感動の連続でした。松原智恵子さんと竹内結子さんは、お二方が家族でいて下さる事が心強く、 毎日本当に助けていただいてばかりでした。言葉では言い表せないほど感謝しています。

松原智恵子 プロフィール

1945年1月6日生まれ。愛知県出身。60年、高校在学中に芸能界デビュー。翌61年、日活映画『明日に向って突っ走れ』(古川卓己監督)でのヒロインデビューを皮切りに、数多くヒロインを演じる。吉永小百合、和泉雅子と共に「日活三人娘」とも呼ばれ、日本映画の黄金時代を支えた。テレビドラマ「時間ですよ」(TBS)、NHK大河ドラマ「国盗り物語」(73)、「龍馬伝」(10)等、幅広い役柄でお茶の間での人気を得る。16年には『ゆずの葉ゆれて』(神園浩司監督)で第1回ソチ国際映画祭主演女優賞を受賞。17年には「田中絹代賞」を受賞。近年の主な出演作品に、『小川の辺』(11/篠原哲雄監督)、『私の叔父さん』(12/細野辰興監督)、『トテチータ・チキチータ』(12/古勝敦監督)、『鏡の中の笑顔たち』(15/喜多一郎監督)、『ゆずの葉ゆれて』(16/神園浩司監督)、『僕らのごはんは明日で待ってる』(17/市井昌秀監督)、『えちてつ物語~わたし、故郷に帰ってきました。』(18/児玉宜久監督)、『笑顔の向こうに』(19/榎本二郎監督)、『君がまた走り出すとき』(19/中泉裕矢監督)などがある。4月から放送の倉本聰氏作、テレビ朝日開局60周年記念作品「やすらぎの刻〜道」(19~20)に出演する。

松原智恵子 コメント

認知症という暗くなりがちな話を、あたたかでユーモラスに描いた作品です。曜子の優しさと明るさをどうすれば出せるかと悩んでいた私に、中野監督は「明るく軽やかに、段々良くなってきましたよ。もう一度やってみましょう」と何度も辛抱強くやさしく「叱咤激励」をしてくださいました。時々落ち込む私(曜子)に、認知症の夫は無言のあたたかな眼差しを、明るい娘達はそれぞれ色々な問題を抱えながらも包み込むようなハグを…私自身が介護されて支えられていた毎日でした。そんなやさしい、あたたかな撮影現場でした。

竹内結子 プロフィール

1980年4月1日生まれ、埼玉県出身。96年に女優デビューし、NHK連続テレビ小説『あすか』(99)のヒロイン役で注目を集める。映画『黄泉がえり』(03/塩田明彦監督)、『いま、会いにゆきます』(04/土井裕泰監督)、『春の雪』(05/行定勲監督)、『サイドカーに犬』(07/根岸吉太郎)では数々の映画賞で主演女優賞を受賞。近年の主な出演作に映画『ストロベリーナイト』(13/佐藤祐市監督)、『インサイド・ヘッド』(15/日本語吹替版声優)、『残穢(ざんえ)-住んではいけない部屋-』(16/中村義洋監督)、『クリーピー 偽りの隣人』(16/黒沢清監督)、『旅猫リポート』(18/三木康一郎監督)、『コンフィデンスマンJP』(19/田中亮監督)、テレビドラマ『真田丸』(16)、『A LIFE~愛しき人~』(17)、『イノセント・デイズ』(18)、『ミス・シャーロック』(18/Hulu配信)、「スキャンダル専門弁護士QUEEN」(19)など。人気、実力ともに日本を代表する注目の女優である。

竹内結子 コメント

クランクインの前に監督が、一つの家族として始められるように、東家のリハーサル時間を設けてくださったので、安心して撮影に入る事ができました。
姉妹の会話のシーンの撮影中、監督には「麻里さんがリズムを作ってほしい」と言われていました。私の今までのお芝居ではやったことのない、監督の独特のテンポを指示されたので、新しいものが見られるのでは、と完成を楽しみにしています。

山﨑 努 プロフィール

1936年12月2日生まれ、千葉県出身。59年、文学座に入団。60年に『大学の山賊たち』(岡本喜八監督)で映画デビュー。『天国と地獄』(63)、『赤ひげ』(65)、『影武者』(80)といった黒澤明監督作品、『お葬式』(84)『マルサの女』(87)などの伊丹十三監督作品に出演し、日本を代表する演技派俳優に。00年、紫綬褒章を受章、07年、旭日小綬章を受章。『刑務所の中』(02/崔洋一監督)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04/行定勲監督)、『おくりびと』(08/滝田洋二郎監督)、『キツツキと雨』(12/沖田修一監督)、『藁の楯』(13/三池崇史監督)など、話題作に出演。近年の主な映画出演作に、『駆込み女と駆出し男』(15/原田眞人監督)、『日本のいちばん長い日』(15/原田眞人監督)、『俳優亀岡拓次』(16/横浜聡子監督)、『殿、利息でござる!』(16/中村義洋監督)、『無限の住人』(17/三池崇史監督)、『忍びの国』(17/中村義洋監督)、『モリのいる場所』(18/沖田修一監督)。また、著書に「俳優のノート」「柔らかな犀の角」(ともに文春文庫)などがある。

山﨑 努 コメント

原作を読んでいる時、この役のオファーが来るのではないかとの変な予感がありました。その予感が当たり、不思議な心持がしています。
中野監督のことは、前作や脚本に触れるにあたり、大変な才能だと思っておりました。実際に現場で一緒に仕事をしても、見事な演出で、感服致しました。
認知症の家族を持つ友人がいるのですが、彼はとにかく「笑うことが大事」だと言います。この作品が何より素晴らしいのは、認知症という扱いにくい題材に対し、おかしみの要素をうまく取り入れてユーモアを失わずに作り上げたところだと思います。

中野量太 プロフィール

1973年生。京都府出身。2012年、自主長編映画『チチを撮りに』(13)を制作、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて日本人初の監督賞を受賞し、ベルリン国際映画祭を皮切りに各国の映画祭に招待され、国内外で14の賞に輝く。2016年10月、商業長編映画『湯を沸かすほどの熱い愛』が公開。日本アカデミー賞主要6部門を含む、合計14の映画賞で、計34部門の受賞を果たすなど、激賞が相次いだ。独自の視点と感性で“家族”を描き続けている。

中野量太 コメント

『長いお別れ』は、僕にとって初の原作を元にした映画になります。
この本を読んだ時、オリジナル脚本へのこだわりを簡単に捨てられました。
それくらい撮ってみたいと思えたし、僕の頭の中で面白くなる想像が、どんどん膨らみました。アルツハイマー型認知症を患った父を持つ家族の話なのに、何度も笑って、何度も優しい気持ちになって。僕が描きたい家族の映画がそこにありました。
納得の脚本に仕上がりました。そこに素晴らしい俳優陣が集まってくれました。
認知症を扱った映画としては、今まで観たこともない作品になると思います。
ずっと家族を映画で描いてきた僕の、また一歩進化した最高傑作を目指します。

大野敏哉 プロフィール

1969年生まれ、愛知県出身。1996年に劇団東京ヴォードビルショーの新人作家公募に入選し、上京。同劇団の若手公演にて脚本家デビューを果たす。その後、「世にも奇妙な物語」(CX)をはじめとする多数のドラマ脚本を経て、『シムソンズ』(06/佐藤祐市監督)、『私の優しくない先輩』(10/山本寛監督)、『海月姫』(14/川村泰祐監督)などの映画脚本を手掛けるようになる。その他、「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER」(15/CX)、「宝石の国」(17/MBS・TOKYOMX)、「約束のネバーランド」(19/CX)など、人気アニメ作品のシリーズ構成、小説執筆など、多岐に渡って活躍している。映画脚本最新作は、『トラさん 僕が猫になったワケ』(19/筧昌也監督)。

中島京子 プロフィール

1964年3月23日東京都生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。出版社勤務を経て1996年、インターンシップで渡米、帰国後フリーライターになる。2003年、田山花袋「蒲団」を下敷きにした書下ろし小説「FUTON」(講談社文庫)で作家デビュー、第25回野間文芸新人賞候補に。2010年「小さいおうち」(文藝春秋社)で第143回直木賞を受賞、2014年山田洋次監督により映画化。同年「妻が椎茸だったころ」(講談社)で第42回泉鏡花文学賞を受賞。2015年「かたづの!」で第28回柴田錬三郎賞を受賞、「長いお別れ」で第10回中央公論文芸賞・第5回日本医療小説大賞をそれぞれ受賞している。

中島京子 コメント

『長いお別れ』は、認知症を患った父親とその家族を描いた物語です。認知症と聞くと、年老いた親が壊れていってしまうと身構える方が多いと思うのですが、発症してからが長いこの病気と向き合う時間は、ただつらいだけの日々ではなく、涙もあれば笑いもあります。家族にとっての大事な「別れの時間」だと、私は思っています。映画の中で、素晴らしい俳優さんたちが、どんなふうに演じてくださるのか、いまからとても楽しみにしています

優河 プロフィール

1992年2月2日東京生まれ。2011年からシンガーソングライターとしての活動を開始。2015年11月、1stオリジナルフルアルバム「Tabiji」をリリース。2016年10月よりNHKEテレ「シャキーン!」に提供した楽曲「朝にはじまる」がオンエアされる。TVCMナレーション(UNIQLO、POLAなど)や、TVCM サウンドロゴを歌唱するなど、活動を広く展開。さらに、2017年2月、ミニアルバム「街灯りの夢」をリリース。2018年3月に2ndフルアルバム「魔法」をP-VINEレコードからリリースした。全国でのツアーライブも精力的に行っている。

優河 コメント

『長いお別れ』。このタイトルが好きです。
この言葉を聞くと、時間が一つひとつ間違いなく進んでいくように、別れというものがごく自然で、そんなに哀しいものでないような気がするのです。
認知症を患った父を中心に、離れ離れになっていた家族が少しずつまた、ひとつの円を描き始める。それぞれの人生は進みながら、欠けていたパズルのピースを父が拾い集めていくかのように。
この物語の主題歌を担当させて頂くことになったとき、誰の心情を軸に唄を書いていくのが良いのだろうとずいぶん模索しましたが、結局、父を取り巻く家族一人ひとりの心がぽっと浮かぶような、そんな唄が書けたような気がしています。
私たちは知らず識らずのうちに、身近な人の影響を多く受けて育っていると思います。それは誰かが大事にしていることだったり、好きなことだったり、無意識の癖だったり。そういうことが自分の人生の中でふと、出てくるとき、急に家族がとても愛おしい存在に思えるような気がします。そしてそれはこれからを生きていく上でとても大きなエネルギーになったりするのではないでしょうか。
出来上がったこの映画を観たら、そんなことが自然に納得できたように思います。
数年後、数十年後、いつか自分の家族が変化を迎えるとき、そして自分が変化を迎えるとき、この映画を思い出して前に進む背中をそっと押してくれるような、細やかな優しさが詰まった作品に参加できたことが幸せです。
『長いお別れ』。この映画が好きです。多くの人に届きますように。

スタッフ
STAFF Profile & Comment

監督・脚本
中野量太
脚本
大野敏哉
原作
中島京子
主題歌
優河